2023年度 理事長所信

理事長所信

一般社団法人吉野青年会議所
2023年度理事長
辻内 章浩
「はじめに」

 青年会議所は地域を思い行動する青年が集結し、仕事や価値観も異なる者がともに活動する中で互いに認め合い新たな経験を経て自己成長へ繋げます。その結果として地域の発展に貢献することが出来ます。20歳から40歳までの人生において貴重な人生資源を消費して活動を行い、単年制により毎年役職が変わり新たな挑戦を得て成長する機会と出会うことが出来ます。

 私は2016年に一般社団法人吉野青年会議所に入会させていただきました。当時を思い返せば多くの先輩諸兄姉がおり、事業に向けて会議を重ねておられました。会議において些細な問題に対しても真摯に向き合い議論を重ね検討し、事業に臨まれる姿勢に対して何もそこまでと頭の片隅では考えていました。私にとっての些細な問題は紐解けば参加される方にとっては問題であり、多くの人が見過ごしてしまう問題でありました。人を思い行動する、地域を思い行動する先輩諸兄姉の姿に尊敬の念を抱いたことを覚えています。

2019年より流行した新型コロナウイルスにより、私たちの日常生活は大きく変わりました。急激な社会環境の変化によって、これまで無かった問題が浮き彫りとなり、以前の状態に戻るのではなくニューノーマル時代へと変化しています。この変化は人々の働き方や生き方に大きな変化をもたらし、私たちはこの時代をどの様に切り開いていくのか問われています。私たちのテリトリーである吉野地域は雄大な自然を有し、歴史、文化に富んだ地域です。しかしながら過疎化に歯止めが止まらず、少子高齢化に拍車がかかっています。

過疎化が進み継続的に行われてきた事業の縮小や廃止が相次ぎ、先頭に立ち地域の活性化に向けて活動する人材も減少しています。地域を思い持続可能なまちづくり、そして当事者意識をもって能動的に行動できるひとづくりなど解決すべき問題は山積みであります。この課題を解決するには私たちが、また地域が連携を取り強い気概を持って挑戦し続けなければなりません。

私はよく話す言葉の一つに「大変なことをするのだから、楽しくやっていこう」とお伝えしています。辛いことや大変なことも乗り越えれば自らの糧となります。乗り越えるなら皆で楽しく乗り越えていきたい。笑顔には笑顔が返ってきます。笑顔の輪を咲かせましょう。

私たちは未熟であり個々の力は微力です。しかし、無力ではありません。解決策はいつの時も存在します。すべてに学び、未来を創造し、うつろわず挑戦し続けましょう。

「小事が大事 最小限で最大限の連携広報」

 目につきにくい小事には注意が行き届かず、つい疎かにしてしまいがちです。しかし、小事を大切にすることで組織としての質が向上することになります。対内においては各委員会の情報共有やLOMの情報発信が外部に対して大きな影響力を有しています。LOMの委員会情報を共有して連携を図りメンバーに寄り添い誰一人取り残さない気配りが必要となります。また、対外においてはSNSが発達したことにより多くの情報が錯綜しているために情報過多となり、ともすれば情報の海に伝えたいことが沈んではいないでしょうか。受け手側に立ち、吉野青年会議所に興味を抱き、見つけやすく、意図が分かりやすい広報が必要です。

当たり前のことを当たり前に、日常の積み重ねは習慣となり、小さな努力はやがて大きな成果へと繋がります。人知れず積み重ねた末に吉野青年会議所がさらに輝きます。歩一歩、積み重ねていきましょう。

「共感者を得る会員拡大」

 組織とは人の集まりであり、人無くして組織の存続はあり得ません。人と組織の関係性を捉える上で組織の視点と個人の視点が大切であると考えます、エンゲージメントの定義が組織と個人が共に成長し、貢献しあう関係であることが重要です。青年会議所活動を行う上で、必ず家族や会社等の理解が必要となります。時間は有限であり活動に時間を割くひずみは何処かに現れます。しかし、それらを上回る自己成長や出会いがあることを伝え、吉野青年会議所として一人ひとりがJC活動に取り組めるニューノーマルな環境整備を推進することが大切です。

私たちが地域を思い行動する姿を見せる機会が新型コロナウイルス感染拡大により激減し、志を同じくする者と接する機会が減り結果として会員減少に繋がっている現状です。しかし、地域を思う同志は多くいるはずです。戦後間もないJCしか無かった時代からJCもある時代へと変化しています。一人ひとりが自らの言葉で青年会議所の価値を語れる人材と成り吉野青年会議所の魅力を語れるようになりましょう。事業を通じて、交流を通じて共に活動したいと思っていただける共感者を増やし会員拡大することでメンバー個々の成長に繋がり、志を同じくする仲間が増え更に魅力に溢れた組織としましょう。

「笑顔溢れる未来を創る事業」

 吉野について愛を以って語れるか。私たちは住み暮らす吉野について誰よりもエキスパートでないとならない。しかし、すべてを知っている訳ではないはずです。我々のテリトリーである3町5村は都会の利便性や働き口を求めて人口の流出が続き過疎化が進み、高齢化率が高い地域です。人口減少は止めることができないのかも知れません、そうであれば私たちの愛する吉野を共に愛す関係人口を増やしていかなければなりません。吉野を愛する人を増やすことで、吉野地域がさらに活性化し、また活性化することで人が集まります。ひとづくりとまちづくり車の両輪のように結びつきます。このループを生み出すことが必要不可欠です。吉野を知り吉野のファンとなり、吉野で働き吉野で住み暮らしたいと思える人を多く創りだしましょう。ひとが人を思う事業によりまちを更に良いものに、ひとがまちを思う事業で吉野の未来を創りましょう。

「むすびに」

 吉野青年会議所の門戸を叩いてから、8年が経過し2023年度で最終年度となります。今日まで青年会議所を通じて多くの方と知り合う機会を得て、多くのことを学ばせていただきました。多くの方より学びや御恩をいただけたのも吉野青年会議所が在ったおかけです。いただいた知見、学び、そして御恩のすべてを次代に紡ぎたく思います。

 世の中には多くの理不尽が溢れています。人それぞれの考えがあり、またそれぞれ自分が正しいと正義が違うために自分の感性と違う場合は理不尽と受け取ってしまいます。しかし、そのどれもが相手にとっては正義であるためお互い認め合うように議論を交わしていきます。些細なことや、自分の考えにそぐわないことを見たくないと遠ざけることは容易く出来ます。しかし、すべてのことより学ぶことはあります。すべての人や事象を師と捉え、学び反芻し自らの糧としてさらに輝く吉野青年会議所を創造していきましょう。

我以外皆我師「自分以外のものはすべて私の師である」

学ぶ心を忘れず、感謝の気持ちを忘れず成長していきましょう。青年会議所に所属しているから出来ることが多くあります視野を狭めず俯瞰し成長した私たちはきっと吉野に寄与することにつながるのです。恐れず果敢に踏み出そう、挑戦の時はいつの時も今、この瞬間です。