2022年度 理事長所信

「はじめに」

一般社団法人吉野青年会議所は、1972年10月に創立して以来、これまでの諸先輩一人ひとりが、吉野を思う熱い情熱と行動力によってその礎をつくり、地域に根ざした運動を展開し存在意義を高めてまいりました。「今、我々に何ができるのか。何が求められているのか。」青年会議所が絶えず繰り返し考え、取り組んできた課題であります。「明るい豊かな社会の実現」を目指し、様々な時代背景の中でそれぞれの時代に応じた新しい方向を考え、それを事業によって実現するために精一杯行動してきました。

2019年末に流行した新型コロナウイルスが世界的なパンデミックを引き起こした影響で我々を取り巻く生活環境はそれ以前とは全く異なるものとなりました。社会生活の形態は変化を余儀なくされ、地方経済も混乱し見通しの立たない不安感が広がっています。それは我々の活動においても例外ではなく、多くの制限がかかり、組織としても多くの対応を求められています。しかし、そのような状況であるからこそ「今、我々に何ができるのか。何が求められているのか。」を考え進んでいかなければなりません。

今後、まちに何が必要か、我々には何が求められているのか、まちの未来を担う青年経済人として今できることは何か、この時代にこの場所に集った同志と共に1年間考え続け、行動してまいります。

「継承と進化」

(一社)吉野青年会議所が設立より50年間運動を続けてこれたのは諸先輩が時代の流れを常に感じ取り、勇気と情熱を持って困難を乗り越え、多様性を受け入れながらも根本は変えることなく変革を繰り返し、価値観を進化させてこられたおかげです。

最盛期には多くいた現役会員も、本年度は最盛期の5分の1の会員数での船出となります。人口減少に伴い、事業承継者不在による廃業や、個人事業主や企業の減少も社会問題となっており、我々の会員数減少へも少なからず影響しております。諸先輩から受け継いできた志を承継しつつ、少人数でもチャレンジできる現代に則した運動、活動へと進化させながらも根本にある「愛する吉野の発展のために」という思いを変えずにJC運動を進めていきます。新しいことへのチャレンジは勇気を伴いますが諸先輩のチャレンジがあったからこそ、現在でも続いている様々な事業があります。受け継がれてきた事業を移り行く時代背景に適合した事業に形を変えても想いをつなぎ次代へ継承すべく邁進してまいります。

「持続可能な吉野の創造」

恵まれた自然の中で、優れた伝統と豊かな人情が息づく吉野地域は、若年層を中心とする人口の減少により、地域コミュニティの規模が縮小し、個人にかかる負担が増えています。一方で、個人が複数のコミュニティに所属していることが多く、それぞれのコミュニティの距離が近いことで意思疎通が図りやすく、素早く連携が取れる新しいモデルケースになる可能性を秘めています。「明るい豊かな吉野の実現」に向けて志と覚悟を持って、まちづくりを担っているという意識を持ったあらゆる同志とともに、より広いエリアで自由な発想をもって地域に新しい価値を共創していく事ができます。多様性を活かし、時代に合わせて運動を展開するために、個々はもちろんのこと、コミュニティ同士の連携を強化し、絆を深めて、互いの得意分野を認識し、未来を見据えたビジョンを描く。そして、果たすべき責任と役割を分担しながら、相互に補完し協力することで、協働が生み出す持続可能な吉野の創造につなげましょう。

「周知される情報発信」

我々(一社)吉野青年会議所は 明るい豊かな社会の実現のために運動をしてまいりましたが社会の中での知名度、認知度はどうでしょうか。私自身青年会議所に入会するまでは、何をしているのかわからない団体といった認識をしていました。入会前の私のような認識を正すカギを握るのは情報発信であると思います。近年、情報技術は益々進歩を遂げ情報発信をするための手段は今や無数に存在しており、発信したい情報をターゲットに合わせてツールを選ぶことでより効果的に広域的な広報が可能となりました。どれほど地域貢献度の高い事業を立案し行おうとしても的を射た情報発信の手段を選んでいなければ効果は半減以下です。今まで以上に(一社)吉野青年会議所の存在意義を高め正しい認識をしていただくためにも、よりターゲットに合わせたツールによる情報発信をしていきましょう。

「会員拡大について」

青年会議所は、組織としての新陳代謝を行い続けるため、40歳での卒業が定められています。会員数の減少は、個人の負担の増加やそれによる活動内容の希薄化となり、組織としての魅力の低下に繋がってしまいます。組織としての存続が危ぶまれるという現実もいよいよ目の前のものとなり、(一社)吉野青年会議所は衰退するか否かの大きな転換期を迎えています。私は、まちの未来を想い、集い、リーダーとなるべく自己研鑽に励み、そして能動的に活動する青年会議所の衰退は、まちの衰退へと繋がると考えています。組織としての存続をかけ、そして未来のまちの繁栄の為、会員拡大を成功させなければなりません。その為にも、まずは我々自身がこの組織の魅力を再認識し、実感する必要があります。再認識することでまちの人々に魅力を伝えることができ会員拡大につながります。

「結びに」

これまで私はJC運動を通して、各事業構築における立案や予算計上、結果報告や決算など、事業を展開していくための手法や会議を円滑に進めるために必要な資料作成能力やプレゼンテーション能力、また社会人として必要な礼儀作法やコミュニケーション等、様々な学びと気づきを得ることができました。それは、自身の仕事、また業界にとどまっているだけでは得ることができないものです。またJC運動を展開していく中で楽しさ、達成感、悔しさ、挫折感等、様々な思いを感じることができました。こういった様々なことを学ぶことができるのが青年会議所なのです。

本年は会員数の減少により過去最少での船出となる中で私は縁があって理事長職を務めさせていただくことになりました。会員減少による個人の負担の増加の中、個々の負担を減らし、いかに濃密なJC運動を展開していくかメンバーみんなで考え、学び、気づき、吉野が明るい豊かな地域になるように活動していきます。

一般社団法人吉野青年会議所第51代理事長の重責を与えていただきましたメンバーの皆様と諸先輩、またメンバー一人ひとりを支えていただいているご家族と仕事に関係する皆様に心より感謝を申し上げ、同時に、皆様からの一層のお力添えをいただきますことを心よりお願い申し上げまして理事長所信とさせていただきます。