一般社団法人 吉野青年会議所


2018年度 理事長所信

一般社団法人吉野青年会議所  理事長  金田 紘典

一途一心

【はじめに】

 現在の日本経済は2020年にオリンピックを控え、都市部を中心に景気回復の兆しがみえています。そこからわが奈良県、そして吉野地域に目をやると、その効果が波及しているとは言えない状況が続いています。政府は2014年より地方創生を謳い、各自治体に地方創生のための予算をつけ、各自治体はまちおこしのために試行錯誤し、色々な情報発信を行っていますが、まだまだ充分ではなく官民一体となった取り組みの増加が必要とされているところです。
 我々のテリトリー内の人口動向を見てみると、高齢世代が37%、生産年齢人口世代が54%となっています。国立社会保障人口問題研究所が発表した日本の地域別将来推計人口によると、2030年には前者44%、後者48%と予想されています。また14歳までの子供世代についても減少が顕著に表れています。ものが溢れ物質的に豊かな時代に暮らす我々は、豊かでありながら何かを変えなければと将来に危機感を感じています。今私達が地域の明日のためにできることは何でしょうか。JC宣言の中に「混沌という未知の可能性を切り拓き」という部分があります。今こそがまさにその時であります。答えはどこにも示されていませんが、いつの時代も青年の情熱がひと・まちを動かしてきています。特効薬はありません。王道を行きましょう。一途に一心に地域のために私達が課題を自ら設定し解決策を考えましょう。



【パラダイムシフトの時代を生きる】

 どのような組織にも伝統と文化があります。しかし時代の変化は私達の意思に関係なくどんどん進んでいきます。そのスピードは凄まじく、カーシェアリング等個人ではものを持たずにシェアをするという概念への変化、2015年に起きた電通での過労死事件に端を発した働き方への意識の変化、ライフスタイルにおけるパラダイムシフトも確実に起きています。日本だけでなく世界に目を向けると、グーグルやアップルに代表されるシリコンバレーでは日々新しい技術が開発され、社会に変革を起こそうとしています。そこで働く人達は私達と同じ20代、30代の青年です。私達は変えるもの、変えないものを意識してパラダイムシフトの時代を生きていかなければなりません。「明るい豊かな社会の実現」この理念、誇りは時代が変わっても変えてはなりません。これを実現するための意識、行動はどんどん変えていきましょう。今までこれがベストと考えていたものも、もう一度考えてみましょう。まだまだ取り入れていなかった手法があるはずです。



【限られた時間の中で最大の成果を求める準備力】

 青年会議所は会議で物事を決定し運動を行っていく団体である以上、委員会で各事業の内容が検討され、その後正副会議・理事会と審議されていきます。事業を行うために時間をかけなければならない場面ももちろんありますが、時間さえかければいいというものでもありません。「何となくこれくらいの時間かな。」という認識で通過儀礼的に会議を過ごしていないでしょうか。私達青年経済人は、青年会議所での時間だけでなく、仕事、家族、趣味にも限りある時間を配分しています。時間は一日24時間でみんなに平等に与えられており、どこに時間をかけたいかは各個人で価値観も違うはずです。であるならば、同じ時間で最大限の成果を求めるために、今できる最大限の準備をして臨む姿勢が改めて求められることになります。各メンバーが限られた時間を捻出した上でこの会議に臨んでくれているという意識を持ち、万全な準備を行うことで会議においても新しい提案をもらえる可能性が高まります。特に理事会は不備を指摘する場となってはなりません。委員会で気付かなかった点、更なる改良点となるヒントを得る場とすべく、準備力を高めていきましょう。青年会議所以外でここまで精巧な議案フォーマットを準備している団体を私は見たことがありません。事業に向かう上での段取りをこのフォーマットが自然に示してくれています。最大限に活用し高いレベルでの会議を行いましょう。



【会員拡大 〜私達の価値を語ろう〜】

 (一社)吉野青年会議所は創立以来様々な運動を展開しており、これまで諸先輩方によって築かれてきた歴史、伝統を次世代に引き継ぐためには、これからも組織的に運動していくことが必要となります。青年会議所は単年度制で毎年役職が変わり、40歳で卒業という限られた時間の中で組織を運営しています。この組織に活力を与え、時代に即した変化を起こしていくためには、新しいメンバーを常に迎え入れていくことが重要となります。
 (一社)吉野青年会議所の会員数の推移をみると、ここ数年横ばいとなっています。この地域で働く人住む人で、この地域をより盛り上げよう、横の繋がりを作って個人ではできないことをやろう。と考えている青年がここにいるメンバーだけであるとは思えません。候補者リストが充実してきている中で、まだまだ会えていない人もたくさんいます。まず直接会うことが第一歩となります。直に私達の思いを伝えましょう。入会候補者と話をしていて、こんな質問をうけることがあります。「入ることでどんなメリットがありますか。実際に聞かれたことのあるメンバーもいると思います。要はこの青年会議所で活動することの価値とは何なのかを問われているのです。青年会議所とは普段の仕事の垣根を越えて、得意分野が異なる、様々な価値観を持った40歳までの青年が考え行動できるという機会提供の場です。私達が青年会議所に入会して、どんな運動を行ってきたのか、どのような学びを得たのか、それによって自身がどのように変化したのか、私達一人ひとりが堂々とその価値を語っていきましょう。会員拡大は青年会議所活動そのものと言えます。担当者任せの会員拡大ではなくメンバー全員で会員拡大を行っていきましょう。



【情報発信 〜共感が生む好循環〜】

 現代社会は情報が溢れ、リアルとバーチャルの境界も曖昧になり、ネット上に存在しないものはリアルにも存在しないかのように扱われることも珍しくありません。SNSの登場で友人・知人だけでなく、同じ趣味も持った者同士が年齢・性別の壁を越えて様々な繋がりを簡単に持つことができるようになりました。SNSが主流となる社会において、その壁を越えて数ある情報の中から私達の情報を受け取ってもらうには多くの共感を集める必要があります。共感できるところにファンが集まり、損得勘定ではなく多くのサポートが集まります。(一社)吉野青年会議所、企画する事業、そこに集まるメンバーの魅力を発信しましょう。共感がいい循環を生み、事業の成果や会員拡大にも波及する広報を行っていきましょう。



【事業 〜解決力から設定力へ〜】

 私達の幼少時代、問題には必ず解答が準備され、より早くより多く解答できたものが優秀とされてきました。記憶力を中心とした解答力重視の時代であったと言えます。その傾向は今でも残りますが、問題と解答が準備されていた解答力重視から、問題が用意されその問題を解決するにはどういった方法があるかという解決力が問われるようになっています。そのためのツールとして、ネットを通じて様々な選択肢が与えられていますが、現代の子供達は私達の幼少時代に比べより柔軟な思考を求められているのです。しかし、この子供達が社会に出るであろう10年先、20年先にはAIが台頭し社会の構造そのものが大きく変化するとも予想されています。また、今現在社会の中心として活動している世代についても、解答力重視の教育を受けてきており、この先の社会がどのように変化し、自身が住む地域がどのように変化していくのか漠然とした危機感を持って生活しています。ネットをツールとした解決力はいずれAIが代替してしまうとすれば、今の子供達、そして今社会を動かしている現役世代が将来のために必要なものは何でしょうか。解答力でも解決力でもない、現状からあるべき姿を発想し、そこから背景の本質を見つけ、真の課題そのものが何であるかを考える設定力が必要とされてくるはずです。物質的に豊かな時代には、課題が何であるか気づかないことも多々あります。例えばビッグデータを活用することで思いもよらなかったまちの姿が浮かび上がる可能性もあります。どんな課題であっても、最終的に判断し、ものごとを動かすのは人の力です。普段からものごとの背景を考え、そこから出てくる課題・問題、それらを解決するために目的を設定して事業を行っている我々にこそできる事業があるはずです。様々な情報の中から、情報に価値を見つけ出し、設定力を発揮して事業を構築しましょう。



【委員会を中心としたメンバー間の連携】

 (一社)吉野青年会議所は各年度の拡大担当者の努力もあって、毎年新規入会者を迎え入れることができています。その入会者が数年先には事業の中心となって活動してくれることも大いに期待されています。そのためには、入会者が早くこの組織に慣れ、メンバー全員と意思の疎通をスムーズに行える環境が重要となります。各メンバーが所属する一番小さい組織が委員会であり、ここでの充実度が本年度だけでなく、その数年先まで全て関連があることを意識する必要があります。新しく入ってきたメンバーにとって、知っている人が少ない場に出ていくということは、多少の勇気が必要となります。LOMの事業だけでなくブロックや地区、日本の事業も含めて、まず参加することでその良さ、その価値を認識できます。新しく入ってきたメンバーに対して世話人的役割を委員会が中心となって担い、メンバー全員がもう一度委員会を中心とした事業、各行事への参加を考えていきましょう。



【最後に】

 私は(一社)吉野青年会議所に入会以来、様々な人に出会い、お世話になり、成長の機会を与えられ、多くの学びを得てきました。自身の仕事だけその業界だけに留まっていては体験できないこと、一社会人としてのマナーや振る舞い、無いと思い込んでいた時間の創出、できない理由ではなくできるための方法の考察、失敗から次の成功へのノウハウの蓄積、どれもこれも皆さんと時間の共有をしてきたからこそであると思っています。本年度私は縁あって理事長職を務めさせて頂くことになり、新たな気付き、新たな出会い、新たな価値観を築く1年でありたいと思います。1年間この方針のもと事業が行われ、メンバーのため地域のために運動が展開できるかどうかの責任は私にあります。メンバーの皆様には実行責任を負ってもらいます。皆様には無理を承知でご協力をお願いする次第です。共に頑張りましょう。私も一途に一心に務めさせて頂くことをお約束して、第47代一般社団法人吉野青年会議所理事長としての所信とさせていただきます。